○文化財保護法  (昭和25年5月30日 法律214号:抜粋)


第1章 総則
(此の法律の目的)
第1条
 この法律は,文化財を保存し,且つ,その活用を図り,もつて国民の文化的向上に資するとともに,世界文化の進歩に貢献することを目的とする。

(文化財の定義)
第2条
 この法律で,「文化財」とは,次に掲げるものをいう。
一 建造物,絵画,彫刻,工芸品,書跡,典籍,古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
二 演劇,音楽,工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
三 衣食住,生業,信仰,年中行事等に関する風俗慣習,民俗芸能及びこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
四 貝塚,古墳,都城跡,城跡,旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳,その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は鑑賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
五 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
2 この法律の規定(第27条から第29条まで,第37条,第55条第1項第4号,第84条の2第1項第1号,第88条,第94条及び第115条の規定を除く。)中「重要文化財」には,国宝を含むものとする。
3 この法律の規定(第69条,第70条,第71条,第77条,第83条第1項第4号,第84条の2第1項第5号及び第6号,第88条並びに第94条の規定を除く。)中「史跡名勝天然記念物」には,特別史跡名勝天然記念物を含むものとする。

第5章 史跡名勝天然記念物
(指定)
第69条
 文部大臣は,記念物のうち重要なものを史跡,名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
2 
文部大臣は,前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡,特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
3 前2項の規定による指定は,その旨を官報で告示するとともに,当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基く占有者に通知してする。
4 前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し難い事情がある場合には,文部大臣は,同項の規定による通知に代えて,その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の掲示場に掲示することができる。この場合においては,その掲示を始めた日から2週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。
5 第1項又は第2項の規定による指定は,第3項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。但し,当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者又は権原に基く占有者に対しては,第3項の規定による通知が到達した時又は前項の規定によりその通知が到達したものとみなされる時からその効力を生ずる。
6 文部大臣は,第1項の規定により名勝又は天然記念物の指定をしようとする場合において,その指定に係る地域が自然環境の保護の見地から価値の高いものであるときは,環境庁長官の意見を聞かなければならない。

(仮指定)
第70条
 前条第1項の規定による指定前において緊急の必要があると認めるときは,都道府県の教育委員会は,史跡名勝天然記念物の仮指定を行うことができる。
2 前項の規定により仮指定を行つたときは,都道府県の教育委員会は,直ちにその旨を文部大臣に報告しなければならない。
3 第1項の規定による仮指定には,前条第3項から第5項までの規定を準用する。

(現状変更等の制限及び原状回復の命令)
第80条
 史跡名勝天然記念物に関しその原状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは,文化庁長官の許可を受けなければならない。ただし,現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合,保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は,この限りでない。
2 前項但書に規定する維持の措置の範囲は,文部省令で定める。
3 第1項の規定による許可を与える場合には,第43条第3項の規定を,第1項の規定による許可を受けた者には,同条第四項の規定を準用する。
4 文化庁長官又はその権限の委任を受けた都道府県の教育委員会の第1項の規定による処分には,第70条の2の規定を準用する。
5 第1項の許可を受けることができなかつたことにより,又は第3項で準用する第43条第3項の許可の条件を付せられたことによつて損失を受けた者に対しては,国は,その通常生ずべき損失を補償する。
6 前項の場合には,第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
7 第1項の規定による許可を受けず,又は第3項で準用する第43条第3項の規定による許可の条件に従わないで,史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をした者に対しては,文化庁長官は,原状回復を命ずることができる。この場合には,文化庁長官は,原状回復に関し必要な指示をすることができる。


文化財の種類
区 分 種 類 国指定(選定) 特別指定 県 指 定

 

 
有形文化財 建 造 物
美術工芸品
考古試料
歴史資料
重要文化財 国  宝 県指定有形文化財
無形文化財 芸  能
工芸技術
重要無形文化財   県指定無形文化財
民俗文化財 有形のもの
無形のもの
重要有形民俗文化財
重要無形民俗文化財
  県指定有形民俗文化財
県指定無形民俗文化財
記念物 遺  跡 史  跡 特別史跡 県指定史跡
名 勝 地 名  勝 特別名勝 県指定名勝
動  物
植  物
地質鉱物
天然保護区
天然記念物 特別天然記念物 県指定天然記念物
伝統的建造物群 集  落
町  並
重要伝統的
建造物群保存地区
   
保存技術 修理技術等 選定保存技術